(1)時 間 
瞑想は私たちの生活の中に習慣としてしっかりと根付いて、初めて瞑想としての効果が出てきます。普段の生活の中で自然の行為として受け入れられ、更に肉体面で体の各種内臓諸器官の働きを常に正常に保つためにも、日常生活の一つとして継続されなければ瞑想を行う意味がありません。そういう意味では、毎日瞑想のために決まった時間をとることが重要でしょう。
自分に最適な時間を選ぶことは、現実的には困難をともなうと思います。家庭の事情、生活のリズム等を考慮した上で、まずは短時間でよいですから時間を決めましょう。うまくいかなければ、後で変更すればいいのです。
瞑想するときの心は、ぼんやりとした不活発な状態ではなく、リラックスしているけれども覚醒しているという状態でなければなりません。一点に集中していなければなりませんから、眠気に襲われる心配のない時間を選ぶのが無難でしょう。一般的に言えば最適な時間として朝を選ぶ人が多いようですが、こだわる必要はありません。
私の場合は午後4時から5時の時間が最適の時間です。とにかく瞑想を行っているうちに自分自身に最適の時間が分かってきますので、その時に変更すればいいのです。
《補足説明》
瞑想を成功させる秘訣は、瞑想を生活にうまく取り入れると言うことです。
しかし、瞑想をうまく取り入れようとして生活を変えすぎるのも良くありません。そんなことをすれば瞑想は重荷になってしまいます。どれ程融通が利き、熱心な人でも、時間(期間)をかけなければ生活習慣は変えられませんし、最初から無理をして、瞑想をメインにした日常生活を組み立てようとすれば、ほとんどの場合三日坊主に終わってしまいます。最初は一日に一度か二度、5分から10分程度の時間をしかも毎日一定の時間で行ってみて下さい。毎日が無理ならば、2日に一度あるいは3日に一度でも良いでしょう。とにかく最初にやろうとしたリズムをしばらくは変更しないで続けてみて下さい。
さて、瞑想を行っているときに、所定の時間が過ぎたことをどのようにして知るのかということが問題になります。5分〜10分程度なら分かると思いますが、20分或いは1時間となるとどうなるのかという不安が生じるかも知れません。
しかしご心配無用。瞑想経験を増やしていくうちに時間が来れば、そろそろ止めてもよいことが自然に感覚で分かってきます。最初のうちは5分を過ぎても5分に満たなくてもかまいません。何日かたてば5分間の感覚がつかめて、その時間が経過すれば自然と分かるようになります。但しこのような説明をしたからといって時間をあまり意識しすぎることも良くありません。
所定の時間が過ぎると、瞑想がどんなにうまくいっているように思えても、それ以上続けようとしないで下さい。まだ体験されていない方にこのような説明をしてもよく分からないかも知れませんが、そのうちに分かってくると思います。とにかくあわてないで、意識しすぎないで徐々にマイペースでやっていきましょう。
(2)服 装 
服装に関しては特別なものを身につける必要はありません。大切なのは自分の最適のものを選ぶことです。瞑想はリラックスして行いますので、勿論きつい服装は避けるべきでしょう。今後調息のところで説明いたしますが呼吸法を行う場合、腹部をベルトできつく締めていると呼吸しにくくなりますので、ベルトははずすかあるいはなるべくゆったりとさせて下さい。
《補足説明》
瞑想を行うときの専用の服を決めておかれるとよいと思います。専用の服を決めて身につけることは、それがパジャマであれジャージのようなものであれ、あるいはトランクス一枚であろうと、心を正しい方向に向けるための助けとなります。しかし瞑想のためにわざわざ着替えるのが面倒であれば少なくとも瞑想の習慣がつくまで、着替える必要はないと思います。重要なのは瞑想そのものですから、瞑想を続ける意欲をそぐような事は避けなければなりませんので。
ベルトの件ですが、腹部を締め付けるようなものは避けて下さい。今後瞑想を行っていくうちに分かると思いますが、腹部正中線には任脈という経絡(気の流れ)があります。このルートを下から上へ気が流れていますので、この流れをなるべく阻害しないようにしなければなりません。ベルトをきつく締めたりするとこの流れが阻害されます。更におへその下には丹田とよばれる部分があります(詳しく言えば丹田は具体的な位置や場所ではなく、ある姿勢を保ったときに生じるものです)が、このあたりをなるべく解放しておいたほうがいいのでベルトははずすか緩くするかどちらかにしておいて下さい。
(3)場 所 
瞑想を日常生活の一部とするには、自分だけの瞑想のリズム即ち適切な時間(瞑想を始める時間)と都合の良い長さ(瞑想をしている時間)が必要ですが、更に自分に都合の良い場所を決めるあるいは見つけることも大切です。理想的には戸外であろうと屋内であろうと、どこででも出来るほうが望ましいですが、最初の頃はやはり瞑想のための専用の場所(もちろん部屋の一角でもかまいません。あえて特別の部屋を用意する必要はありません)を決めて、瞑想の度にその場所へ行くことが助けになります。そこに近づくと意識を瞑想へ向かわせる作用をします。
《補足説明》
瞑想の場所は、最初は屋内でなるべく静かなところを選んで下さい。子どもがはしゃぎ回る場所や電話やテレビなど音が出るものがある部屋はなるべく避けて下さい。理想を言えば一人になれるところがいいのです。またその場所に何らかの装飾を施すのもいいかと思います。しかし、このような環境が整わなくてもかまいません。重要なのはあなたがそこにいることですから。
(4)姿 勢 
ポイントはバランスです。既に説明しましたが、人間の身体は同じ姿勢を続けると苦痛を感じます。瞑想は同じ姿勢を続けると苦痛を感じるという法則を無視しなければなりません。そのコツはバランスなのです。身体のバランスがとれていれば、ちょっと練習するだけで、所定の時間は勿論、一時間以上も同じ姿勢を保つことが出来ます。体験してみれば分かりますが、これは実に不思議ですね。身体は、そうしようと思えば独りでにバランスを取るように出来ているようです。
身体を構成しているのは左半身と右半身というほぼ均等な二つの部分と、その中央を通る身体を支える背骨と、首と頭です。従って瞑想するときには、身体を本来の均衡状態に置くようにすることです。そのためには結跏趺坐が最も適しています。この姿勢を取ると、身体を支える安定した土台(床に触れているお尻、組んだ脚、膝からなる三角形)ができ、その土台の上に背骨、肩、首、頭がうまく収まります。しかしながら結跏趺坐は相当訓練しないと出来るものではありません。ですから、結跏趺坐の変形として片方の足の甲だけをもう一方の大腿部に乗せて、もう片方の足は床につけたままでもかまいません。またあぐらをかく姿勢でもいいでしょう。とにかくバランスが左右均衡に取れればいいのです。
《補足説明》
皆様の生活環境をお考えになって、まず畳や床の上に座布団を敷いて結跏趺坐(勿論この変形座法も含めて)スタイルで行うか、イスに座って行うかを決められるとよいと思います。両方やってもいいのですが、やはり最初はどちらか一方をマスターするようにして、その後もう一方の座り方を行ってみるのもよいでしょう。
1) 結跏趺坐型
最初からいきなり結跏趺坐を行うのは難しいと思います。私も変形型を利用しています。まず瞑想用のクッションを作るか或いは購入して下さい。これはお尻(尾骨)に当てるものですから、サイズはあまり大きくないものが良いと思います。重要なことは最低10センチ(出来れば20センチ程)の高さが必要だと言うことです。
手短に座布団を折り曲げたり、枕(出来ればそば殻でできたもの)で代用してもかまいません。なぜこのようなクッションを使用するのかというと、身体を楽にするためには、膝をお尻よりも低くする必要があるのです。そうしないと重心が後ろにずれてしまい、上半身を前にかがめてバランスを取らなければならなくなってしまいます。クッションなしで座るとお尻よりも膝が高くなってしまい、瞑想をしていると不快感や腰痛が起こったりして、瞑想なんてしょせんいうほどのものではないように思えてしまいます。
まず両脚を伸ばしてクッションに座って下さい。クッションの位置の微調整は、何度かやっているうちに分かってくると思います。
次に左脚(或いは右脚でもいいのですが、説明の便宜上左脚とします)を屈曲させて、身体に近づけ、その足のかかとが会陰部(肛門と生殖器との間)に着くようにして下さい。そしてクッションの上でお尻を少し前にずらし、かかとのほぼ真上に会陰部が来るようにします。
次にもう一方の伸ばしている右脚を屈曲させ左脚の上に交差させ、右足を左のふくらはぎに乗せるか、ふくらはぎと太股の間の溝に乗せます。これもやりにくければ、右脚を屈曲させたまま左脚の上を交差させないで、左脚の前に接触する程度のところまで曲げます。
このとき、クッションの高さが適切であれば両膝或いは膝の少し下の部分が床や畳に着いているはずです。忘れてならないのは、最初の脚(ここでは左脚)のかかとを出来るだけ身体に近づけ、身体を前にずらしてかかとの上に座るようにする事です。
最初は慣れないせいもあって、座りにくさを感じられるかも知れませんが心配はいりません。
この座り方に慣れてきたら、次に上半身の調整をします。両膝とクッション(尾骨が当たっている部分)とで三角形が出来ますね。この三角形を底辺とした三角錐をイメージして下さい。(底辺が四角形ならば四角錐となり、いわゆるピラミッドになりますが)その頂点に頭が来るようにします。そのようにするためには背筋をしっかりと伸ばす必要があります。
背骨には生理的湾曲があります。よく解剖学などの入門書などに背骨を横から見た絵とかイラストなどが書かれていますが、背骨は首の部分とお腹の部分は前に湾曲し、肩から背中にかけてとお尻の部分は後ろに湾曲しています。これを生理的湾曲と言いますが、この湾曲を妨げないようにする事が大切なのです。背筋を伸ばせば自然とこの湾曲ができあがります。
両脚を組んで座った状態で、お尻をぐっと後ろに出すようにして下さい。その次にお腹を前に突き出します。そうすると背骨はきれいに生理的湾曲を作ります。頭は位置は、目で正面を見つめると正しい位置になります。
次に上肢の置き場所ですが、両手の甲を両膝あたりに着けて手のひらを上に向けて下さい。印を結ぶ必要はありません。印を結ぶとある特定の経絡に気が流れ始めてしまい、特定の証(東洋医学独特の診断結果)に対する自己治療のスタイルになってしまいます。
この姿勢を取ると、両脚と腰の状態により、下半身の動物的なエネルギーをコントロールして上方に向けられます。この動物的エネルギーは主に第一のチャクラで、上方に上昇させることによりやがて精神的エネルギーに変化し、瞑想をさらに深くしてくれます。
2)
イス型
イスは上下の高さを調節できるイスが良いと思います。イスの高さは下腿の長さより少し短めにして下さい。下腿の長さより高いイスですと、座ったとき足が床に着かなくなります。結跏趺坐型と同じくらい両脚を開きます。膝は屈曲させて足がイスの横にくるようにして床に着けます。そうすると両大腿部が少し前に傾き膝よりも尾骨が高くなります。
次に結跏趺坐型と同じく両膝と尾骨で出来る三角形を底辺として三角錐を作り、お尻を後ろに出し(イスの場合は深く座るとよい)、お腹を前へ突き出します。
すると背筋が伸びて、頂点に頭が来るようになります。背もたれのあるイスであれば背もたれと背中の間に空間が出来ますから、そこに座布団か何かクッションになるような物をあてがって下さい。
出来れば、まず結跏趺坐型をやってみて背筋を伸ばした状態がどのような感じかをつかんでから、イス型をやると三角錐のイメージがよく分かると思います。
以上、二つのスタイルを紹介いたしましたが、何度かやりながら、ご自分に適した型を定めて下さい。この姿勢が出来たならば、5〜10分程度維持してみて下さい。呼吸やその他のことは、まだ考えないで、この姿勢が自分にしっくりくるかどうかを試すことだけに集中して下さい。
さて「調息」に入る前に、時間的な余裕があれば次の練習を行ってみて下さい。時間の余裕がなければ省略してもかまいません。
練 習
静かに坐り,自分が「自分」であることを意識してください。「自分自身」とともに坐っている,ほかならぬ「自分」を意識するのです。できるだけじっと坐ること。
こうして,ほどなく襲ってくる肉体的な苦痛と,身体を動かしたいという衝動を意識します。
このような衝動が常習化していることに注目。苦痛がきわめて小さくても,そこには,身体を動かして解消したいという願望が存在します。
身体を動かしてみましょう。こうして苦痛が戻るのを待ち,また身体を動かしたいという衝動が起こるのを待ちます。今度は衝動を押さえて坐り続けてみてください。衝動に抵抗できることに注目。
激しい痛みを感じるまで坐っている必要はありませんが,自分の心の落ち着きのなさを意識し,この落ち着きのなさが身体の動きに反映することを意識しましょう。心は,好ましくないと思うものに遭遇するとすぐ,それを排除するようあなたをせきたてます。精神的な緊張を引き起こすのは,このような衝動と,それにともなう落ち着きのなさなのです。この衝動を押さえながら静かに坐っていましょう。
じっと動かずに。そして,身体を落ち着かせれば落ち着くことに注目してください。
実際に立ち会って、指導するのが一番ですが、一つ一つの 指示を文字で説明するのは、説明する方も、それを読みながら試してみる方もお互いに大変だと思います。分からないことなど、どんどん御質問下さい。 |