
脳の機能
老化という自然な過程に伴い、人間は総合的な認知(脳)機能において進行性の低下を感じます。これによって、短期記憶から検索したり記憶したり、抽象的に推理したりまた新しい情報を容易に学習するという能力が喪失されます。多くの神経疾患もまた老化に直接的に関連しています。
老化はいくつかの点において、認知機能に悪影響を与えます:
・生活の中で蓄積する脳のフリーラジカルダメージ
・ライフスタイル、食事そして栄養素吸収の変化による重大な栄養不足
・40歳までにかなりの減少を始める重要なホルモンの量
・脳細胞に有効な酸素の減少(アテローム性動脈硬化症や心臓疾患・喫煙・過度の飲酒・薬物濫用・少ない運動量・乏しい食事やストレス)
・脳細胞のエネルギー生産の減少
発表された非常に多くの研究は認知機能の低下を抑えることを実証し評価されました。予防は最適な脳機能を維持するのを助けると示すという研究もあれば、自然の老化あるいは脳卒中のような老化による特定の疾患によって生じる認知障害を回復することは非常に効果があると示す研究もあります。
年齢と関連した神経障害は、記憶喪失・老人性痴呆症・アルツハイマー病・痴呆症といったいろいろな形で現れる可能性があります。痴呆症は神経細胞の損傷を伴う疾患を含み、少なくとも2つの複雑な行動領域における喪失として定義されます。この定義には、言語・記憶力・視覚と空間能力・判断などが含まれます。障害は、日常の仕事の能力を激しく妨げるにちがいありません。痴呆症は、最も深刻な年齢関連の精神的な障害で、しばしばそれが顕著に表れるようになるまでにはゆっくりした緩やかな経過をたどり、何ヵ月もまたは何年もかかる場合があります。また症状は脳のどの範囲が影響を及ぼされるかによって変わります。
一般的な年齢に関連する知的障害と疾患過程を立証する痴呆症のような健康状態を区別することは重要なことです。全ての記憶困難または認知困難が、痴呆症・アルツハイマー病・精神障害などを表しているわけではありません。多くの記憶力の変化は一時的なもので、生理的作用よりむしろストレス、化学的な露出および/あるいは粗末な食事などのような環境要因に関係があります。
重要なのは、深刻な認知困難は老化に伴うやむを得ない結果として片付けるべきではないのです。役立つ指標としては、深刻な知的障害を持つ多くの人々は、彼らの障害が周囲の人々に明らかであったとしても、彼ら自身は問題があると認めたり認識したりできないということです。
具体的な原因
脳に影響を及ぼし知性と行動および精神の機能不全の原因となる状況は以下のとおりです。
・薬剤の副作用−有害な副作用は、過剰に多いまたは過剰に少ない薬剤の服用、薬剤への異常反応、薬剤の組合せなどから生じます。特に一般用医薬品に加えて、別々の医者によって処方された多くの異なる薬剤をとっている高齢者においてよく見られます。摂取している全ての処方薬および一般用医薬品を必ず主治医に知らせてください。
・物質濫用−過度の薬(合法または違法)およびアルコールの濫用は、知的障害を生じることがあります。高齢者はそうのような物質の使用に耐えそして回復する能力に欠けます。過剰なアルコール消費はまた、しばしば痴呆症を導く肝疾患の危険性を増加し、さらに肝臓障害を引き起こします。
・代謝異常−エネルギーの消費が低く食事量の少ない高齢者において、甲状腺の機能不全・貧血症・栄養不足は一般的なことです。栄養素の吸収不良は、精神的機能に対して更なるマイナスの影響を与えます。症状が「単に老化現象」によるものと考えられるとき、高齢者はこれらの問題に気付いていない場合があります。
・神経疾患−多発性硬化症と正常圧水頭症(脳の中で髄液が増加する)は、精神的機能に影響を与える2つの神経疾患の実例です。
・感染−脳は、ウィルス・バクテリア・菌類などの感染を受けやすい部分です。痴呆症を引き起こす非常に珍しい脳感染はクロイツフェルトヤコブ病です。それは自己複製する(狂牛病の)ように、組織に損傷を与える特別な蛋白質(プリオン)によって伝染します。また他の一般的な病原体は、血液脳関門を通過して脳感染を引き起こすことが知られています。
・外傷の原因−頭部外傷は、一時的(脳震とう)または長期的な知的障害において生じることがあります。外傷の原因は、ほとんどの場合、病歴および検査に基づき明らかになります。しかし高齢者よくみられるある頭部外傷は、いつも明白なわけではありません。脳細胞の組織へ血液が漏出する状態を硬膜下血腫といいます。このタイプの障害は、きわめて最小の外傷の後に発生することがあり、出血が少ない場合その発症は徐々に起こります。症状は、頭痛・錯乱・無気力などで、しばしば非特異性です。
・毒性の因子−一酸化炭素・アルミニウム・水銀・鉛・カドミウム・ヒ素・ニッケル・空気中の糸状菌・メチルアルコールなどのような物質への露出は、知的障害を引き起こします。
・ホルモンの変化−老化に伴うホルモンの変化は、近年明確に確認されています。たとえば50歳ころに更年期に導くホルモンのエストラジオールとプロゲステロンが突然低下します。ほてり・骨密度の低下・膣の乾きなどのような症状に加えて、気分変動・判断力の低下・疲労のような精神的機能の変化した症状が一般的です。男性においてテストステロン量は時間とともに少しずつ低下していき、筋組織と骨密度の低下に導かれ、腹部の脂肪やコレステロールが増加し、心臓機能の悪化および精神や性的な変化が起こり、精神的機能に影響を与えることがあります。
・腫瘍−脳の異常組織の増殖(腫瘍)は、一次的(脳に起こる)または転移することがありえます(身体の別の部分の腫瘍に起因する組織の「種」、および血液脳関門を通過した「種」)。転移性腫瘍はより一般的なものです。脳腫瘍の約70%が良性であるにもかかわらず、認知機能不全の一因となります。
うつ病
うつ病・ストレス・苦悩は、一時的かつ治療できる精神的障害の一般的な原因です。症状が医学的な疾患のうつ病と混同されるので、高齢者におけるうつ病はしばしば見落とされます。
うつ病は、一般的な老化の一部であるとも考えられています:National Mental Health
Association(ナショナル メンタル ヘルス
アソシエーション)は、58%以上の高齢者はうつ病は老化に付随されるものと考えていると報告しています。高齢者が健康状態の変化・移転・愛するものの喪失のような困難な経験をしてきたとしても、もしこれらの生活変化の1つに伴う悲しみが長期間残るならば、それは臨床的なうつ病として診断される場合があります。人生後期のうつ病はおよそ600万人の人に影響を及ぼし、その大部分が女性ですが、その状態に対し治療を受けているのはたったの約10%です。
うつ病は深刻な結果を招きます。それは免疫機能に障害が生じることによって、他の医学的な健康状態を悪化させ日常生活から楽しみを奪い取り、自殺に導きさえすることがありえます。実際に高齢者は、自殺の危険性が最も高いと考えられます。(高齢者の自殺の割合は50%以上で、国全体としての割合よりも高くなっています)。
循環器系疾患
虚血性発作−心臓疾患または脳卒中のような循環器系疾患は、血流が低下することで脳細胞に有効な酸素を送ることを制限します。さらに自分は大丈夫であると感じている多くの人々は、動脈(アテローム性動脈硬化症)に脳へ酸素供給を結果的に制限するプラークが蓄積している場合があります。脳卒中の最も一般的なタイプは虚血性発作と呼ばれおり、それは血塊が脳に運ばれて血管または毛細管に留まった結果です。その結果、酸素が無くなり脳細胞は死んでしまいます。
一過性脳虚血発作(TIAs)とは、血流が2〜3時間から1日の間妨げられた時、引き起こされる軽度の脳卒中で、障害は永久に残りません。TIAsは、さらに深刻な脳卒中を予防するために治療が必要であるという重要な警告信号です。
たとえば・・・
脳出血−この種の脳卒中が発生するとき、毛細血管は少しずつもろくなり破裂して、脳細胞に大量出血が起こります。
・脳卒中は高齢者に非常に多く、3/4は65歳を超えて発生します。症状は、影響が及ぼされる脳の部位によって決まり、運動障害・構音障害・思考能力の障害が起こります。
・標準的に年齢を重ねていくことは脳において灌流(血行)欠損をつくります。したがって脳の血液循環を良くする栄養素は健康的な人にとっても、非常に重要性です。これらのプロトコルに含まれる勧告は、精神的機能の長期的な回復、特に短期記憶・構音障害・集中力・学習などを改善するために示されました。
・30年にわたる双子の男性の研究は、中年期に上昇する血圧が男性の脳の老化を加速し将来の脳卒中の危険性を増加するといった素因を作ったことを示しました。さらに25年前に血圧が少し上昇した男性は、血圧の上昇がなかった双子の兄弟と比較して、脳体積が低下しと脳卒中がより増加しました。
総合的な健康を増進するために処置することが、年齢に関連する精神的障害を予防しまたは最小にするためにとても推奨されます。規則的な運動、タバコの節制、血液脂質濃度を観察することは、動脈を健康な状態に保ち十分な酸素と栄養素を脳に供給することによって脳卒中と心臓病の危険性を低下させるでしょう。
規則的な運動は、精神的機能を平均20〜30%向上させます。過剰なアルコールまたは薬剤の使用をやめたりまたはそれらを最小にすることで、さらに精神的機能の保護を促進することができます。人間は年をとるにつれて食事量が低下する傾向があるため、低脂肪の栄養豊富な食品の摂取が健康に効果的です。栄養豊富な食事は、認知欠損の予防を助、状態を良い方向へと導き健康な身体を作ります。Therapeutic
Careを定期的に摂取することは、脳に滋養分を与える特定の栄養素(表9)を提供し、認知機能の改善に大きな効果を与えます。